医 薬 案 第 127 号
平成12年10月27日
厚生省医薬安全局安全対策課長


セラチアによる院内感染防止対策の徹底について


 標記については、従前より「医療施設における院内感染の防止について」(平成3年6月26日指第46号)、「セラチアによる院内感染防止対策の徹底等について」(平成12年7月4日医薬安第88号)等を参考に対応していただいているところであるが、今般、「セラチア菌(Serratia marcescens)による院内感染の疑い事例専門調査班報告書」(平成12年9月3日)が堺市院内感染専門調査班(班長 本田武司 大阪大学微生物病研究所教授)よりまとめられたところである。
 この機会に改めて院内感染に対する注意を喚起するため、同報告書の関係部分を別紙のとおりまとめたので、貴職におかれては、今後の院内感染防止対策の推進に当たって参考として活用されるとともに、関係者への周知徹底方お願いする。
 なお、貴管下保健所設置市、特別区に対しては、本通知の趣旨等について貴職より周知されたい。

1. 喀痰吸引、尿道カテーテル、中心静脈カテーテル留置、口腔ケア、ネブライザー吸入 等の医療行為、医療器具及び患者の状態(寝たきり等)と、喀痰中のセラチア陽性者の 間には、統計的に有為な相関があった。また、血流感染に関して、静脈留置針、三方活 栓の取り扱い、消毒用アルコールの種類、濃度及びその消毒効果に対 する過信、アル  コール綿の取り扱い・保管などに問題があったことが判明した。さらに、ネブライザー 薬液や石鹸箱、ハンドソープ等からセラチアが検出された。これらを介した医療行為が 同菌による院内感染を引き起こす要因の一つと考えられることから、これらの医療操作 や医療器具の消毒及び管理方法等に関して留意する必要がある。

注)
@超音波ネブライザーの運用法は、薬液未交換のまま患者間の共用であった。ま た、超音波ネブライザーに対する消毒薬は、一部のセラチアに効果が低いと報告され ている塩化ベンザルコニウムが用いられていた。
A静脈留置針の留置期間中は刺入部の観察が実施し難い方法で留置針が固定されていた。
B三方活栓がルート内に多用されていた。その三方活栓を取り扱う清潔操作にも問題があった可能性がある。
C消毒用アルコール(濃度50%イソプロピルアルコール)綿の消毒効果に対する過信があった。50%イソプロピルアルコールを用いた場合、使用法によってはセラチア の消毒が完全でないことが「東京都不明疾患調査班報告書」(平成12年3月。班長 増田剛太 東京都立駒込病院感染症科部長)に示されている。また、70%エタノールについても、同様に、保管法や使用法が適切でないと、消毒効果が減弱する事が、以前から指摘されている。
Dアルコール綿は一度に多量に作り置きされ、処置の際に必要量を蓋のないトレイ上にまとめて置き、患者間を廻って使用されていた。
2.医療機関においては、自らが院内感染防止を行うため、日常的に医療従事者への感染 防止対策の教育・研修の徹底、監視(サーベイランス)体制の充実と院内感染対策委員会の機能強化を図ることが重要である。