医療現場における滅菌保証のガイドライン 2000


・医療現場において適切な滅菌工程を遂行するために、最低限遵守しなければならない事
 項に言及した滅菌保証のガイドライン。
・国内では初めてのガイドラインである。
・A4版12ページ。発行2000年5月。頒布価200円(税込み)
・ガイドライン本文はこちら



  医療現場における滅菌保証のガイドライン ・・(抜粋)

1. 滅菌の総合的管理


 日常の滅菌工程が十分にその効果を発揮するためには,日常の滅菌を開始するに先立っ
て,下記の事項を行う.
@適切な滅菌機器および関連設備を選定する.
A滅菌機器が適切に設置されていることを確認する.
B清汚の区別を明確にする.
C滅菌担当作業者に対する滅菌作業に関する初期教育を実施する(脚注a).
D滅菌条件設定を実施する(脚注b).
E滅菌媒体(蒸気,ガス)の品質管理を行う(脚注c).
F滅菌物の有効保存期間を設定する.
G生物学的および化学的インジケータの性能確認方法と手順を定める.
H生物学的および化学的インジケータの保存ならびに保管方法(有効期限を含む)を定め
 る.
I生物学的および化学的インジケータ試験の実施頻度をバリデーションに基づき設定する.
J滅菌済み包装物の供給可否の判定方法および管理方法を定める.
K設定した滅菌条件が機能していることを科学的に確認(バリデーション)する.

 日常滅菌業務を開始した後は,下記の項目に留意する.
@滅菌機器の定期点検を実施し,機器性能を維持確保する.
A滅菌機器附属計器の定期的な校正を行い,その信頼性を確保する.
B滅菌担当作業者に対する滅菌作業に関する教育を定期的に実施する.
C滅菌作業環境の清浄管理を行う.
D滅菌物の有効保存期限を確認する.
E滅菌媒体(蒸気,ガス)の品質管理を行う(脚注c)


2. 滅菌工程管理


 滅菌の総合管理を実施した上で,日常的滅菌工程管理として,機械的制御の監視記録,
化学的インジケータや生物学的インジケータを用いての管理を行い,無菌性を保証する
(脚注b).

2.1 高圧蒸気滅菌
 高圧蒸気滅菌は,耐熱性,耐湿性のある滅菌物滅菌に適応する.病院内の滅菌方法とし
ては,最も安全かつ信頼性の高い滅菌方法である.

1) 機械的制御の監視と記録
 滅菌器操作担当者は,毎回,滅菌器附属計器記録計で温度,圧力などを監視記録し,適
切な滅菌工程が達成されていたことを確認する.これらの記録は病院ごとに定める方針に
従って保存する.

2) 化学的インジケータ(Chemical Indicator:CI)
 化学的インジケータは,滅菌物が滅菌工程に曝されたか否かを区別するためのものであ
り,外から見えるよう各包装の外部に貼付し,併せて,状況により包装内部に入れる.
 包装内部に置かれた化学的インジケータは,滅菌物の滅菌後の無菌性は保証しないが,
その部位まで熱などの滅菌効果が到達したことを示す(脚注d).
 包装内部の化学的インジケータが透視可能な場合は,外部の化学的インジケータは貼付
しなくてもよい.

 説明 :包装外部に使用される化学的インジケータは,ISO 11140-1でクラス1に分類
されているプロセスインジケータが適当である.また,パック内部へ使用される化学的イ
ンジケータはクラス4,5あるいは6に分類されているマルチパラメータインジケータ,
インテグレイティングインジケータ,あるいはエミュレイティングインジケータが適当
である(注1).

3) ボウィー・ディック・テスト (Bowie & Dick test:注2)
 真空式(工程前真空吸引式)高圧蒸気滅菌器において,滅菌物内の空気除去が確実に行
われ,かつ適正な滅菌器用蒸気が供給されたことを監視するために,ボウィー・ディック
・テスト(Bowie & Dick test)を適宜始業時に行うことが望ましい.

4) 生物学的インジケータ(Biological Indicator:BI)または標準化されたテストパ
ック(注3)によるテスト
 Bacillus stearothermophilus ATCC7953 などの生物学的インジケータ,または標準化
されたテストパックを,少なくとも週に一度,できれば毎日使用し,滅菌器の性能を確認
する.


2.2 酸化エチレン(Ethylene Oxide:EO)ガス滅菌
 酸化エチレンガス滅菌は非耐熱性・非耐湿性の滅菌物の滅菌に適応する.


1) 機械的制御の監視と記録
 滅菌器操作担当者は,毎回,滅菌器附属計器記録計で温度・圧力などを監視記録し,適
切な滅菌工程が達成されていたことを確認する.これらの記録は,病院ごとに定める方針
に従って保存する.

2) 化学的インジケータ
 化学的インジケータは,滅菌物が滅菌工程に曝されたか否かを区別するためのものであ
り,外から見えるよう各包装の外部に貼付し,併せて,状況により包装内部に入れる.包
装内部に置かれた化学的インジケータは,滅菌物の滅菌後の無菌性は保証しないが,その
部位まで熱などの滅菌効果が到達したことを示す(脚注d).
 包装内部の化学的インジケータが透視可能な場合は,外部の化学的インジケータは貼付
しなくてもよい.

 説明 :包装外部に使用される化学的インジケータは,ISO11140-1でクラス1に分類さ
れているプロセスインジケータが適当である.また,パック内部へ使用される化学的イン
ジケータはクラス4,5あるいは6に分類されているマルチパラメータインジケータ,イ
ンテグレイティングインジケータ,あるいは,エミュレイティングインジケータが適当で
ある(注1).

3) 生物学的インジケータまたは標準化されたテストパックによるテスト(注4)
 Bacillus subtilis ATCC9372などの生物学的インジケータ,または標準化されたテスト
パックを,少なくとも週に一度,できれば毎日使用し,滅菌器の性能を確認する.

2.3 過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌
 過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌は非耐熱性,非耐湿性の滅菌物の滅菌に適応する.

1) 機械的制御の監視と記録
 滅菌器操作担当者は,毎回,滅菌器附属計器記録計で温度・圧力などを監視記録し,適
切な滅菌工程が達成されていたことを確認する.これらの記録は病院ごとに定める方針に
従って保存する.

2) 化学的インジケータ(Chemical Indicator:CI)
 化学的インジケータは,滅菌物が滅菌工程に曝されたか否かを区別するためのものであ
り,外から見えるよう各包装の外部に貼付し,併せて,状況により包装内部に入れる.
 包装内部に置かれた化学的インジケータは,滅菌物の滅菌後の無菌性は保証しないが,
その部位まで過酸化水素プラズマ発生に必要な過酸化水素が到達したことを示す.
  包装内部の化学的インジケータが透視可能な場合は,外部の化学的インジケータは貼付
しなくてもよい.

3) 生物学的インジケータまたは標準化されたテストパックによるテスト(注4)
 Bacillus stearothermophilus ATCC7953,Bacillus subtilis ATCC9372 などの生物学
的インジケータを,少なくとも週に一度,できれば毎日使用し,滅菌器の性能を確認する.
(生物学的インジケータ選択の際は、担体に過酸化水素を吸着しない材質を使用してい
るものを選択することが大切である.)


脚注a:滅菌自体に関すること以外に,作業員の服装,滅菌前浄化,滅菌法の選択,包装
材および包装方法の選択,包装外面の識別表示[滅菌年月日,滅菌法,滅菌ロットNo.(そ
の施設で滅菌ロットを特定出来る番号など),有効期間又は年月日,クラス1 ケミカルイ
ンジケータの貼付など]に関する教育も重要である.


脚注b:滅菌物にはISO/TC198や日本薬局方第13改正第一追補の記載に準じて,通例
,10-6以下の無菌性保証水準(Sterility Assurance Level:SAL)が得られる条件での滅
菌条件設定を実施する.

脚注c:滅菌不良,滅菌物の汚染などの原因になり得るので、適正な管理をすることが望
まれる.具体的な内容についてはISO13683,EN285などに記述されているので参照されたい.

脚注d:その部位まで熱などの滅菌媒体が添付文書もしくは取り扱い説明書等に記載され
た条件(温度,時間等)に到達したことを示す.化学的インジケータは設定温度において
経時的に段階的に変色し,生物学的インジケータの死滅時間より遅れて完全変色するもの
が望ましい.また,滅菌物の材質や積載量により昇温時間が異なることや滅菌器内での滅
菌物の置かれている場所により滅菌条件が異なることを考慮して,すべての包装内部に化
学的インジケーターを挿入することが望ましい.

3. 滅菌工程が不良と考えられた場合の対応

 機械的制御の監視や化学的インジケータ,あるいは生物学的インジケータの判定結果で
滅菌工程が不良と考えられたときは,直ちに部門長に報告し,以下の手順に従って対処する.

 生物学的インジケータの培養結果を直ちに部門長に報告する.この報告に続いて報告書
を作成,提出する.報告と報告書には以下のような情報を含める.
@疑われた滅菌器と滅菌サイクルの日時
A積載物の状況に関する記載
B機械的監視記録と包装内部化学的インジケータ試験の結果
C人為的誤操作の可能性を判断するための情報
D機械的制御の監視記録
E滅菌機器に附属する定期的な校正記録
F滅菌作業記録
G滅菌物の前処理の状況を判断するための情報

 微生物検査室に依頼し,生物学的インジケータより発育した微生物を同定して人為的汚
染の存否を確認する.
 滅菌部門責任者あるいは適切な代理人は,病院内保守管理部門と滅菌部門関係者ととも
に,滅菌器の故障の有無を調べ,故障などが認められた場合には速やかにその修理を行う.

 滅菌不全が生じたときは,当該滅菌器で処理した滅菌物は,生物学的インジケータが最
後に陰性を示したときから次に陰性の結果が得られるまで,滅菌されていないものと見な
し,“5.既滅菌物のリコール”に示すリコール(回収)をおこない,可能ならば再滅菌
する.

 滅菌器故障の原因が判明して修理した後は,修理した滅菌器は直ちに生物学的インジケ
ータまたは標準化されたテストパックで再試験する.再試験の結果,生物学的インジケ
ータの培養結果が陰性であることを確認後に臨床使用に供する(脚注d).

 説明 :
1) 生物学的インジケータと化学的インジケータの特性
 生物学的インジケータは8〜9D(D値:当該滅菌器で供試微生物生残数を1/10 に低
減させるのに要する時間)の力価で陰性となる.
 経時的かつ段階的に変色し,所定条件で完全変色する化学的インジケータと併用してい
た場合,生物学的インジケータは陰性であるのに,化学的インジケータは不完全色を示す
場合もある.この場合,化学的インジケータの色相と製造メーカが作成した変色見本と比
較することにより,どの程度の滅菌条件に暴露されたかを検証することができる.

2) EO滅菌の場合の滅菌不良の確認
 ISO分類クラス4[2つ以上(例えば温度・時間・濃度)の滅菌条件に反応]とクラ
ス5[4つ(温度・時間・濃度・相対湿度)の滅菌条件に反応]のインジケータを同時に
使用することにより滅菌不良の原因(特にEOガス滅菌の滅菌不良の原因となる相対湿度)
を確認できる場合がある.


4. 記 録

 滅菌工程監視の履歴として記録を残す.滅菌物のリコール(回収)等の事態が発生した
場合に,しっかりとした記録が残してあれば迅速に滅菌物を回収でき,滅菌不全の原因解
明にも役立つ.

下記の項目を記録として残すことが望ましい.
@滅菌物のロット番号(その施設での滅菌ロットを特定できる番号など)
A滅菌積載物の種類(例えばリネンパック,手術 器具セットなど)
B滅菌温度,滅菌時間,乾燥時間(高圧蒸気滅菌の場合のみ)
C滅菌担当者の署名
D滅菌器附属監視計器の記録紙
Eボウィー・ディック・テストの結果(工程前真空吸引式高圧蒸気滅菌器の場合のみ)
F化学的インジケータの結果
G生物学的インジケータの培養結果
H滅菌器の修理・点検記録
I滅菌器附属計器定期点検の校正記録


5. 既滅菌物のリコール(回収)

 使用部門に供給された既滅菌物,あるいは保管されている既滅菌物のリコールを行う指
針,およびリコールの方法は,個々の医療施設の感染対策委員会の協力によって作成する.
これら方針と方法は書面にして保存しておく.
 既滅菌物のリコールは,供給部門長あるいは適切な代理人の判断による.滅菌不全の滅
菌物が臨床的に使用された証拠があれば,感染対策担当者に連絡し,対応を検討して実施
する.

 説明 :患者の安全性を確保するため,滅菌不全が疑われる既滅菌物のリコールを速や
かに実行し,リコールが行われた際には,当該滅菌器の使用停止,使用部門の医師,看護
婦などへの連絡,滅菌不全の滅菌物を使用した患者の経過観察などの対応を迅速かつ確実
に遂行するためのマニュアルを作成しておく必要がある.
 回収を徹底するために、包装の外面に識別表示をすること[滅菌年月日,滅菌法,滅菌
ロットNo.(その施設で滅菌ロットを特定出来る番号など),有効期間又は年月日,クラス1
 ケミカルインジケータの貼付].

1) リコールの実行は供給部門長が書面により,以下のとおり行う.

@リコールの理由を記載する.
Aリコールの命令を指示する人(供給部門内)を指名する.
Bリコールの実行結果について報告する責任者(供給部門内)を指名する.

2) リコールの命令は,指名された職員が書面により,以下のとおり行う.

@命令を受ける人あるいは部門(使用部門)を明らかにする.
Aリコールされる滅菌物のロット番号を明らかにする.
Bリコールされる滅菌物の種類と数量の記録を明確にする.
C命令を受けた人の対応を指示する(例えば,製品の破棄あるいは返品).

3) リコールの命令の結果報告は書面により,以下のとおり行う.

@リコールされた滅菌物の種類と数量を明記する.
A再発防止策を明記する.


 −− 注    釈  −−

注1. ISOインジケータ
  ISO(国際標準化機構),TC198(医療用品の滅菌を扱う技術委員会)のWG6
(化学的インジケータの作業部会)は,化学的インジケータに関する国際規格の作成を
担当し,1995年に国際規格“ISO 11140 医療用品の滅菌―化学的インジケータ 第1部:
一般要求事項”(ISO 11140-1)を発行している。
 この中で,化学的インジケータを性能別にクラス1〜6に分類しており、その概要を示
す.

クラス1:プロセスインジケータ
 滅菌工程を通過したか否かを確認するためにされたれたインジケータ.オートクレーブ
テープ,EOガス用テープ,滅菌バックに印刷してあるインク等が該当する.

クラス2:特別な用途のためのインジケータ
 ボウィー・ディック・テストの為に作られたインジケータ.真空式高圧蒸気滅菌器を検査
する(注2).

クラス3:シングルパラメータインジケータ
 1つの滅菌条件のみに反応するように作られたインジケータ.例えば滅菌温度にのみ反
応するインジケータ(例:温度チューブ.ガラスチューブの中に固体の化学薬品が入って
いて,ある温度に達すると融解し変色するインジケータ.その温度に達してから保持され
る時間は考慮されていない).

クラス4:マルチパラメータインジケータ
 2つ以上の滅菌条件(例えば温度・時間)に反応するように設計されたインジケータ.
本クラスのインジケータにもすべての滅菌条件(高圧蒸気滅菌:3条件,酸化エチレン
ガス滅菌:4条件)に反応するものがある.ただし,“クラス5:インテグレイティング
インジケータ”よりも精度は低い.

クラス5:インテグレイティングインジケータ
 すべての滅菌条件に反応するように設計されたインジケータ.指標菌の死滅にある程度
の安全時間を加えた滅菌条件で反応するもの.通常,完全反応まで段階的に進んでいくの
が特徴.クラス4のマルチパラメータより精度が高い.

クラス6:エミュレイティングインジケータ
 インテグレイティングインジケータよりもさらに精度の高いインジケータ.


注2.ボウィー・ディック・テスト
 一般的にボウィー・ディック・テストと呼ばれているこの試験は,真空式高圧蒸気滅菌器
の残留空気の有無および滅菌器用蒸気の品質を確認するために行われる.無菌性を保証す
る試験ではない.
 注意:ボウィー・ディック・テストは,重力置換式高圧蒸気滅菌器や加圧パルス式高圧蒸
気滅菌器には適用できない.

1) テストパックの構成
 ボウィー・ディック・テストパックの原法は,折り畳んだ吸湿性の外科用再使用タオルか
ら成る.タオルは新しく洗濯されたものであり,アイロン掛けしてはいけない.タオルを
折り畳み,約23 cm×30 cm以上の大きさとし,一枚ずつ交互に積み重ねる.テストパック
の高さは25〜28 cmにする.タオルの総数はタオルの厚さと摩耗度によって試験ごとに異
なる.市販されているボウィー・ディック・テストシートをテストパックの中央に挟む.
1枚の覆布でゆるく包装する(綿布あるいは不織布).
 ボウィー・ディック・テストパックの原法を簡易にした市販のテストパックには再使用
のものと単回使用(使い捨て)のものがあり,これらを用いるのが便利である.

2) テストパックの設置場所
 テストパックは空の滅菌器の最も滅菌条件の悪い場所に水平に置く.通常,排気口部が
その場所に相当し,滅菌器の下段,扉近くが一般的である.

3) 試験方法
 推奨される滅菌処理時間は3.5分であるが,30秒の曝露が滅菌器で選択できなければ,
4分の滅菌処理時間が用いられる.滅菌処理時間は134 ℃で4分を超えてはならない.
乾燥は時間を節約するために省略する.滅菌器から取り出したテストパックは熱いので,
手や顔の熱傷を避けるために注意深く展開する.テストシートを取り出し,その結果を
調べる.
 注意:もし滅菌処理時間が4分より長ければ,試験は無効で,結果も意味のないものと
見なされる.少しの延長でも結果に影響を与える.コールドスタート(加温運転なし)か
ら試験した滅菌器は,試験結果が不良となる可能性があるので,加温運転後に試験を行う.

4) 合格基準
 テストシートの中央部分が周囲と同じ色になれば合格である.重要なことは色の濃淡で
はなく,テストシートの中央部分と周囲の色が同一であるか否かである.試験の結果を記
録し,記録は他の滅菌器の記録と一緒に保存する.

5) 不合格試験結果
 テストシートの中央部分の変色が周囲の色相と異なる場合は,滅菌器の機能不全のため
に工程中にエアポケット(残留空気)が存在しているか,あるいは,滅菌器用蒸気の品質
が不良であることを示している.機能不全のどんな徴候も部門長に報告し,不良の原因を
解明した上で修理した後,再試験する.

注3.高圧蒸気滅菌用テストパック(16枚タオルパック:AAMIの方法)
 重力置換式蒸気滅菌器及び真空式蒸気滅菌器の日常の生物学的監視に使用する.

1) テストパックの構成
 AAMIのテストパックは,16枚の洗濯した,再使用,吸水性の手術用タオルからなる.
原法でのタオルの大きさは41cm×66cmである.それぞれのタオルを長い方を3つ折りにして,
短い方を2つ折りにする.折り畳んだ後,折り目を交互にしてタオルを積み重ねて,高さ
約15cmの束にする.そして,テストパックのほぼ中央部である7枚目と8枚目のタオルの間
に1個以上の生物学的インジケータを挿入する.
 化学的インジケータを併用する場合は,生物学的インジケータの隣りに挿入する.テス
トパックは高圧蒸気滅菌用インジケータ・テープでからげて固定する.このテストパック
に包装材は使用しない.
 テストパックの原法を簡易にした市販のテストパックには再使用のものと単回使用(使
い捨て)のものがあり,これらを用いるのが便利である.市販のテストパックでは,その
中央部の挿入部位に1個以上の生物学的インジケーターを挿入する.
 試験のために用いる生物学的インジケータのロットから少なくとも1個の生物学的イン
ジケータを滅菌せずに対照として培養し,試験に供した芽胞の滅菌前の生存を確認し,ま
た,培養方法が適切であったことを確認する.対照として培養した生物学的インジケータ
が生育しなければ,テストパックで用いた生物学的インジケータは使用前から死滅してい
たか,あるいは,培養条件が不適切であると考え,試験結果は無効と見なし,再試験を行
う.

2) 試験方法

@テストパックを滅菌器内の最も条件の悪い場所に置く.通常,排気口上方がその場所に
  相当し,滅菌器の下段,扉近くが一般的である.この試験は滅菌処理する他の滅菌物を滅
  菌器に積載した条件で行う.
A通常行っている滅菌条件で滅菌器の運転を行う
B滅菌工程が終了した後,生物学的インジケータをテストパックから取り出し,生物学的
  インジケータの製造業者の推奨する条件に従って培養する.
CBacillus stearothermophilus は標準的な細菌培養器の温度である35〜37 ℃では生育
しない.55〜60 ℃が通常推奨される培養温度である.

注4.酸化エチレンガス滅菌用テストパック(AAMIの方法)
 酸化エチレンガス滅菌器の日常の生物学的監視に使用する.

1) テストパックの構成
 AAMIのテストパックは,1個の生物学的インジケータをプラスチック・シリンジに
挿入し,内筒を生物学的インジケータのガス取り込み口に触れないようにする.
 生物学的インジケータは,製造業者から提供されている一次包装から取り出してはなら
ない.選択した生物学的インジケータは,製造業者の指示に従って使用する.シリンジの
先端は開放しておく(先端保護用キャップは取り除く).
 1枚の再使用,吸水性の手術用タオル(綿100%)を,長い方を3つ折りにして,短い
方を2つ折りにする.折り畳んだ後,シリンジと化学的インジケータをタオルの間に挿入
する.そして,医療施設で通常用いられる十分な大きさの滅菌バックあるいは包材で包装
する.このテストパックを組み立てる前に,テストパックの中身は,室温18〜24 ℃で,
RH35 %以上の相対湿度に最低2時間はおいておく.
 単回使用(使い捨て)の市販のテストパックを用いるのが便利である.
 試験のために用いる生物学的インジケータのロットから少なくとも1個の生物学的イン
ジケータを滅菌せずに対照として培養し,試験に供した芽胞の滅菌前の生存を確認し,ま
た,培養方法が適切であったことを確認する.
 対照として培養した生物学的インジケータが生育しなければ,テストパックで用いた生
物学的インジケータは使用前から死滅していたか,あるいは,培養条件が不適切であると
考え,試験結果は無効と見なし,再試験を行う.
 説明 :このテストパックは,日常的に酸化エチレンガスで滅菌される物品の構成と類
似している.プラスチック製のシリンジは断熱,酸化エチレンガス吸着,酸化エチレンガ
ス拡散抑制などの働きをする.タオルは通常酸化エチレンガスでは滅菌しないが,熱と湿
度の吸収を模擬的に試験するため使用する.

2) テストパックの置き場所
 滅菌器の容積に関わらず1個のテストパックを使用し,滅菌器の中央部分に置く.滅菌
器の構造上,中央部にテストパックを置くことのできない小さな滅菌器では,滅菌器の前
部に置く.

3) 試験方法
 テストパックは酸化エチレンガス滅菌を行う他の滅菌物と一緒に積載する.滅菌工程は
滅菌器製造業者の指示に従って動かす.

4) 合格判定
 培養結果において,テストパックの生物学的インジケータが陰性で,対照の生物学的イ
ンジケータが陽性の場合.