| 第1章: | 結核感染についての基礎知識 1. 結核感染に関する基本的事項 1-1 感染経路 1-2 結核感染の危険性 1-2-1 感染源 1-2-2 接触者 1-2-3 環境因子 2. 結核集団感染の定義 |
| 第2章: | 定期外健康診断のフローチャート |
| 第3章: | 定期外健康診断ガイドライン 1. 初発患者調査 1-1 調査項目 1-2 定期外健康診断の要否の決定 2. 接触者検診 2-1 初発患者のランクの判定 2-1-1 接触者検診の重点 2-2 接触者のランクの判定 2-2-1 接触者検診実施の重点対象 2-3 対象者の範囲の決定 2-3-1 接触者検診の範囲の設定 2-3-2 初発患者の感染源 2-4 検診の方法と時期の決定 2-4-1 問診 2-4-2 ツ反応検査 2-4-3 胸部エックス線検査 2-4-4 喀痰の抗酸菌検査 2-5 検診結果の判定 2-5-1 ツ反応検査 2-5-2 胸部エックス線検査 2-6 事後措置の方法の決定 2-6-1 接触者検診の事後措置 2-6-2 最初のツ反応で感染ありとはいえない小児 2-6-3 最初のツ反応あるいは再ツ反応で感染が強く疑われる小児 2-6-4 発病者 2-6-5 追跡 3. 定期外集団検診 3-1 定期外集団検診の要否の検討 3-1-1 定期外集団検診の要否の決定 3-1-2 調査を必要とする対象者 3-2 初発患者についての検討会 3-2-1 定期外集団検診検討会の開催 3-2-2 定期外集団検診要否の判定 3-3 対策委員会の設置 3-3-1 対策委員会の設置 3-3-2 担当部局への報告 3-4 対象範囲の決定 3-5 検診の方法と時期の選択 3-5-1 既往歴調査 3-5-2 ツ反応検査の対象と判定 3-5-3 ツ反応成績の分析 3-5-4 胸部エックス線検査 3-6 対策委員会での検討 3-7 事後措置の方法の決定 3-7-1 追跡調査 3-8 報告、その他 3-8-1 集団感染事例の都道府県担当部局及び国への報告 3-8-2 結核菌株の保存 3-8-3 結核専門家の参画 |
| (1) | 暗痰塗抹検査の結果 喀痰塗抹検査の結果が陽性の場合には、普通、喀痰1::に7,OOO個以上の結核菌が含まれるといわれており、塗抹陽性の場合には感染の危険性が高い。 (注1)ガフキーI号、あるいは全視野で2〜3個以下の抗酸菌が陽性の場合には、食物残渣などが抗酸菌染色で染色されている場合もあるので、再検査を指示するとよい。再検査は通常2回以上行われるが、再検査の結果、連続して2回とも塗抹陰性ならば、陰性とみなしてよい。 (注2)気管支洗浄液、胃液などを検体としている場合には、遠沈後の沈渣について塗抹検査を行っているので、たとえ陽性の場合でも感染源としての意義は小さい。この場合には、喀痰検査の成績を別途照会する。 なお、非定型抗酸菌が内視鏡等に付着し、検査のたびに少数の菌が認められることがあるので、同一器具による検査で、微量菌が続いて認められる場合には、注意が必要である。 |
| (2) | 咳の程度と期間 咳は飛沫の数を著しく増加させるので、激しい咳を長期間(例えば、3か月以上)続けている患者は感染源となる危険性が高い。 |
| (3) | 有効な治療の有無 有効な抗結核治療を行えば、喀痰中の結核菌の数と咳の回数が速やかに減少するので、感染源としての危険性は急速に低くなる。従って、未治療の患者が危険である。 |
| (4) | 培養検査の結果 塗抹検査が適切に行われていれば、塗抹陰性で培養のみ陽性の患者は感染源としての危険性が塗抹陽性患者よりずっと低い。 |
| (5) | その他の因子 上記の他に次の因子が感染源の危険性に影響する。 @ 咳をする時に口をハンカチなどで覆うか否か。 A 歌ったり、大声を上げたりすると飛沫の数が増える。 |
| (1) | 結核未感染者 結核の再感染は起こり得るが、極めて稀であると考えてよい。従って、感染を受ける人は未感染者が大部分である。BCG既接種者のツベルクリン反応(以下「ツ反応」という。)は、しばしば陽性あるいは疑陽性であるが、結核未感染であれば、感染を受ける可能性があることはいうまでもない。 |
| (2) | 感染源との近い距離での接触 結核菌を含む飛沫核は急速に広い範囲に拡散するので、離れた距離での接触でも感染を受けることはあるが、飛沫核の密度歩低いので感染の危険性は低い。会話をする程度の距離の接触があった場合に危険が大きい。 |
| (3) | 接触の期間 ほんの僅かな時間、1回のみの接触で感染を受けることもあり得るが、接触の時間が長く、回数が多いほど危険である。 |
| (1) | 接触のあった部屋の大きさ 狭い部屋ほど危険である。 |
| (2) | 換気 換気を行えば飛沫核の濃度は薄められる。 |
| (3) | 再循環 ビルディング、病院、船舶などで換気を再循環式で行えば、飛沫核の一部が再循環することとなるので危険性が大きくなる。 |
| (4) | フィルター、紫外線照射 これらの措置は、感染防止に有効である。 |
| (注1) | BCG接種率が高い我が国では、感染者数を正確に把握することは極めて難しい
が、えば定期外検診の結果、化学予防を指示された者は感染者として数える。 また「発病者1・人」を感染者6人とみなすのは、感染後1年以内の発病率は高くみて16%であり、実際には、さらに低いと考えられるので、1人の発病者があれば少なくとも6人の感染者が背後にいるはずであるという推定に基づく。 |
| (注2) | 感染者が20人に満たなくても「1人の感染源が、2家族以上にまたがり5人以上に感染させ、あるいは2人以上が発病した場合」を「小規模感染」と呼び、対応に手抜かりがないようにしようという考えもある。この場合、「結核集団感染」の定義はそのままとし、必要に応じて「小規模感染」を別に扱う右がよいだろう。 |
| 重要度 | 感染危険度指数 |
| 最重要 | 10以上 |
| 重要 | 0.1〜9.9 |
| その他 | 0及び肺外結核 |
| (注1) | 喀痰塗抹検査成績は、検体の良否、検査技術の優劣によって大きく影響される。また、最近では抗酸菌陽性例が少なくなったための精度の低下も報告されている。成績の解釈に当たっては注意が必要である。 |
| (注2) | 塗抹検査成績がガフキー号数によらず、(+)、(”)、(”)で報告された場合には、それぞれ、ガフキ−T号、ガフキーX号あるいはガフキー\号と読み替えて指数を計算する。ガフキー号数と簡便法の蔵量の対照は、次頁の表に示してある。蛍光法による場合は200倍拡大による検鏡所見を準用する。 |
| (注3) | 化学療法開始前3回の喀痰塗抹成績の情報が得られない場合には、次の簡便法を用いるのもやむを得ない。 |
| 「最重要」: | 1回の塗抹検査成績がガフキーV号以上又はエックス線所見が学 会分類T型又はU型で拡がり3以上。 |
| 「重要」: | @ 1回の塗抹検査成績がガフキーT号又はU号。 A 塗抹陰性であってもエックス線所見が、学会U型で拡がり1あるいは2であるもの。 B 喀疲塗抹検査陰性で培養陽性と判明したもの。 |
| 「その他」: | 上記以外を「その他」とする。 |
| 菌数( )内ブラウンによる変法 | ガフスキー号数 | 簡略な表示 |
全視野に 1〜 4 数視野に 1 一視野に(平均) 1 一視野に(平均) 2〜 3 一視野に(平均) 4〜 6 一視野に(平均) 7〜 12 一視野に(平均)やや多数 (13〜 25) 一視野に(平均)多数 (26〜 50) 一視野に(平均)はなはだ多数(51〜100) 一視野に(平均)無数 (101以上) |
T U V W X Y Z [ \ ] |
少数 中等数(〃) 多数(〃) |
| (注1) | 小児・若年者の結核発病は、感染後5か月〜18か月の問に起こることが最も多い。従って、最近1年半くらいの間に接触のあった人で、排菌陽性・有症状の患者が感染源だった可能性が最も高い。小児結核では家族内に感染源が発見される場合が多い。高校生以上では、感染源が発見される可能性は低
くなるが、患者又は家族と面接する場合には、このことも考慮しながら問診を行うことが重要である。 0〜14歳の小児が感染源となり家族などが感染することは極めて稀なので、感染源追及のためのエックス線検査対象には、小児は普通含めないでよい。 小児についてのエックス線検査の時期は表2のとおりである。 |
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| 塗抹陽性患者との接触 | BCG未接種 | BCG既接種 | |
| あ り | ツ反応発赤10mm以上 | ツ反応発赤30mm以上 | |
| かつ最近の結核感染が強く疑われる場合 | |||
| な し | ツ反応発赤30mm以上 (再検査では20mm以上) | ツ反応発赤40mm以上 |
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(注)BCG未接種の乳幼児に、化学予防を2か月間実施した後にツ反応を行い、陰性、疑陽性だった場合、化学予防は中止するが、すぐにBCGを接種することなく、さらに2か月後にツ反応検査を行った上で最終判断を行う方がよい。 なぜなら、感染後、アレルギー前期の状態にある小児にINHを投与すると、結核菌は増殖せず、ツ反応も出現しないが、結核菌は完全には死滅せず、化学予防中止後に結核菌が増殖を始めて陽転することがあると報告されているからである。 |
| ・ | 教職員、保母、塾の職員など若年者と直接接触のある者が結核患者として届出られた場合 |
| ・ | 園児、学童、生徒、学生など若年者自身が結核患者(0を含む)となって届出られた場合 |
| ・ | 同一施設から短期間に2人以上の結核患者の届出があった場合 |
| @ 教職員: | 学校などの教職員・臨時職員を含む。 |
| A 保健・医療従事者: | 特に乳幼児、小児と接触が多い場合。 |
| B 障害者などの施設の職員: | 収容している人のケアのために密接な接触のある場合が少なくないので、収容者が成人であっても注意が必要である。 |
| C 塾などの職員: | 学習塾、その他の教室の先生など。近年、学習塾等における結核集団感染事件が後を断たないという状況にあるので、注意が必要である。 |
| 感染危険度指数 | 被 曝 露 集団 | |||
| 新生児など | 小・中学生など | 高・大学生 | 左記以外の年齢 | |
| 10以上 | 必 要 | 必 要 | 必 要 | 必 要 |
| 0.1〜9.9 | 必 要 | 必 要 | 必 要 | 要検討 |
| 0.1〜9.9 | 要検討 | 不 要 | 不 要 | 不 要 |
| (注1) | 結核.集団感染が疑われる場合には、化学療法開始前の喀痰塗抹検査の結果を3回とも入手し、「2-1」に記した方法により感染危険度指数を算出して対応を決めるとよい。接触者が高校生以下の場合には、次の表を参考にして定期外集団検診実施の時期を決める。ツ反応成績の解釈は難しい場合が少なくないので、僅かな接触のあった者もツ反応対象者に加えておき、このツ反応成績と、接触が密だった者のツ反応成績を比較すると、成績の解釈が容易になる。 |
| 指 数* | 直後の反応 | 2ヶ月後のツ反応 |
| 0 | 不 要 | その他の条件を考えて実施の要否を判定 |
| 0.1〜9.9 | 大部分は不要 | 実施が望まれる |
| 10〜 | 実 施 | 必ず実施 |
| 20〜 | 必ず実施 | 必ず実施 |
| (注2) | ツ反応検査の結果は、結核予防法では発赤長径と判定結果((一)、(±)、(十)、(”)、(”))及び二重発赤、水泡、壊死の有無を記載することとなっているが、集団感染が疑われてツ反応検査を行う場合には結果の詳しい分析が必要なので、結核予防法による記載に加えて 硬結の大きさ○X○ −−−−−−−−−(二重発赤の大きさ○X○)(水泡、壊死、出血) 発赤の大きさ○X○ と、それぞれの大きさを数字で記載しておくことが望まれる。 |
| (注1) | BCG接種を行っていない者ではツ反応の陽転と同時(つまり感染後2か月以内)に初感原発巣あるいは肺門リンパ節腫脹、またはその両者が認められる場合が少なくなく、結核性髄膜炎は感染後4か月くらいからみられるので注意が必要である。 また、細胞性免疫不全がある者では感染後極めて短時間に重篤な形で発病することがあるので、特に注意が必要である。 |
| (注2) | 胸部エックス線写真の読影は難しいことが少なくなく、特に小児では難しいことが多いので、2人以上の医師が共同で判定することが望まれる。判断し難い例では、再撮影、斜位撮影などを行い、あるいは断層撮影を行って、判定を行い、「要観察」として判断を保留するケースはできるだけ少なくすること。 |