薬剤耐性菌対策に関する専門家会議 報告書
平成9年3月  厚生科学特別研究事業

バンコマイシン耐性腸球菌等対策に関する研究班報告書より


VRE院内感染防止対策


1)VREの院内感染防止対策の特徴

 VRE保菌者の多くはVREが腸管に定着していることが多くVREが糞便中に高 濃度に含まれる。叉VREは尿路感染症の尿からも分離されることが多い。このため VRE保菌患者の便又は尿(特に便)からVREが繰り返し排出される状態が生ずる。 VREが患者から検出され、院内感染防止対策が遅れた場合、病院環境が広範囲にV REにより汚染される可能性が高い。VRE院内感染対策は早期発見、監視、手洗い 、環境汚染防止、トイレの清掃消毒、及びVREの他の重症患者への感染防止である 。
 VREが臨床検査材料から分離されたとき最初に行うことは、その患者あるいは同 室の患者の便のVREの存在を調べVREを含む便により環境汚染が広がらないよう にすることが必要である。一般的な院内感染防止対策はMRSA院内感染対策に準じて行 い、病院に応じた対策を立てる。以下の項目を参考にされたい。

2)抗菌薬の適正使用

 VRE院内感染対策の基本としてVREを抗菌薬により選択的に増加させ広げるこ とを防ぐことが重要である。そのため、バンコマイシン、β-ラクタム系、アミノグ リコシド系の適正使用、特にバンコマイシンの使用においては定められた適応症、使 用方法に従って適正使用することが求められる。

3)ICU、癌病棟、臓器移植病棟での院内感染防止対策

病院検査室でVREを検出した時は直ちに担当医師、院内感染管理者に連絡する。
患者の臨床検査材料からVREが検出された時は患者の便のVREを検査し、直 腸のVREの定着の有無を調べる。
同一病棟の他の患者の便のVREの検査も行い直腸のVREの定着の有無を調べる。
VRE保菌者はカルテ等において医療従事者が認識できるようにしておく。
患者間の院内感染防止対策を徹底する。
VREが検出される便、尿の取り扱いにおいて環境に広がらないようにする。必要に応じ環境の消毒を行う。
VREを含む便、尿に汚染された作業着の区別と取り替え、便、尿処理時における医療従事者の手の消毒の徹底。
注)日本では現在までのところVRE感染症の報告はないがVREによる感染症が発生した時、これら病棟の患者の便、直腸綿棒の培養を定期的に行いVREの存在の有無を検査する。


4)一般病棟におけるVRE院内感染防止対策

 一般病棟におけるいわゆる全身状態の良い患者はVRE菌血症をおこすことは、ほとんどない。一般病棟から、ICU、癌病棟、臓器移植病棟に拡散しない対策が必要である。
病院検査室でVREを検出した時は直ちに担当医師、院内感染管理者に連絡する。
臨床検査材料からVREが検出された時は患者の便のVREの存在の有無を調べる。
VRE保菌者はカルテなどにおい医療従事者が認識できるようにしておく。
VREが腸管に定着している患者で排泄物を自ら処理できる患者は用便後の手洗い等の一般的な清潔動作の指導のみでよい。
VREが腸管に定着している患者で寝たきり状態等で自ら排泄物を処理できない患者の便、尿の取り扱いにおいてVREが一般病棟からICU、癌病棟、蔵器移植病 棟に広がらないように手洗い、環境清掃消毒の対策を立てる。

 VRE陽性患者の病室への出入り、医療器具の消毒等はMRSA院内感染防止対策に準じる。